部活動バレーボールコーチングのあるべき姿

コーチング理論

部活動で学生にコーチングを行う際に、重要なことはどのようなものでしょうか。

コーチングを行ううえでのキーワードは、

「学生との論理的な対話」

です。部活動でのコーチングは「対話」を意識しましょう。部活動は学生の自主的な意思によって行われるものですが、授業の延長線上でティーチング指導になっていないでしょうか。そして、学生にアドバイスを行うときには「論理的」であることが重要です。ロジカル無くして問題解決はできません。感情や感覚のみで指導を行うと言っていることが一貫しません。論理的に物事を見て判断することで、一貫した指導をすることができますし、選手も指導内容について腹落ちできます。また、指導側が選手自身の問題に対して論理的に考え、答えを見つけていく過程を見せることで、選手が論理的に物事を考える能力が飛躍的に向上します。

一方で、指導者がよく行う良くないコメントはなんでしょうか。現場でよくみる指導者のコメントに、抽象的で感情的な批判をするものがあります。

たとえば、練習試合で点数が19-20だったとします。ここで、ブレイクすれば20-20で同点になり、さらに連続得点で逆転するチャンスです。しかし、セッターの選手がサーブをネットにかけて失点し、点数は19-21になったとします。このとき、セッターの選手にどのようなコーチングを行いますか?

①失点直後にサーブミスした選手に、「何をやっているんだ。点数をわかっているのか。集中して打てよ。」と叱責する。

②サーブミス直後は何も言わず、試合終了後、個別に「19-20の場面でサーブミスをしたよね。次の試合で失点しないために、サーブミスについて一緒に考えてみよう。まず、サーブを打つとき、どんなことを考えていたのか教えてくれない?…」と会話をしながら選手と指導者の考えをすり合わせしていく。

正解は②です。ミスしたことに叱責する必要はありません。指導者は、選手が失敗から何を学ぶかを考えてコーチングを行いましょう。そして、正解をすぐに伝えるのでは、選手は理解し行動するところには至りません。選手の考えを理解しながら問かけることで、選手自身に考え言葉にするようにしましょう。ベストは選手が次の対策を言葉にすることです。そして、対策の効果を次の場面でさらに確認していくことで、P(プラン)D(実行)C(確認)A(実行)のサイクルが生まれていきます。

①には3つの問題があります。

1.試合中に人前で叱責することで、選手の自尊心が傷つきメンタルが不安定になります。バレーボールを楽しむこともできなくなり、パフォーマンスが低下していきます。

2.起こった結果に対して批判しているだけなので、選手は上達する手がかりを得られません。

3.選手は集中していないことが原因だと決めつけられ、抽象的な原因への対策を考えなければならなくなります。そして、指導者の意図とは異なる行動をさらにとります。これが積み重なると、選手は自分で考えることをしなくなり、指導者の言ったことしか行動できなくなります。

指導者は起こった結果に対して感情的に批判することが指導になってはいけません。まず、起こった現象、結果からその事象の背景と原因、対策を考え、学生に「問い」を出しながら、背景、原因、対策を学生自身に答えさせましょう。そして、対策や行動が間違っていてもよいので、学生自ら考えたことを実行させ、効果があったのか確認するところまでフォローするコーチングをしていきましょう。

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